トップアスリートの「目」に寄り添う。小野伸二選手が語る「強さ」と「優しさ」とは。

その繊細なボールタッチと、圧倒的な視野の広さで、天才の名をほしいままにしてきた小野伸二選手。40歳を超えた今もJリーグ・北海道コンサドーレ札幌でプレーを続ける、サッカー界が誇るレジェンドです。そんな小野選手も、実はCREOのコンタクトレンズの愛用者。トップアスリートは、コンタクトレンズを選ぶ際に、どんなところに気をつけているのでしょうか。鮮やかなプレーで観るものを魅了し続ける、小野選手の強さの源にも迫りました。

まるで身体の一部のように、スッとなじんでくれました

――小野選手は、いつからコンタクトレンズを?

3年くらい前でしょうか。それまではずっと裸眼でブレーしていたのですが、だんだんと視力の衰えを感じるようになってきて。特にナイターの試合だと、ボールがちょっと見えづらかったりすることが増えてきたんです。そんななかで、しっかり見るための工夫としてコンタクトレンズを着用するようになりました。

――コンタクトレンズをつけることに抵抗感はありませんでしたか?

初めはちょっと怖さもありましたね。それでも着けてみると、スッと目になじんで。コンタクトレンズは人によって合う、合わないがあると聞いていましたが、僕の場合はまったく邪魔にならないというか、身体の一部になったような感覚でした。そこはすごく良かったと思います。CREOのコンタクトレンズも、すごく着け心地が良いですよね。僕は目が乾燥しがちなので、たっぷり潤いのあるCREOは嬉しいですね。

――今は日常生活のなかでもコンタクトレンズを使っているのですか?

いえ、普段は外しています。なんていうかな、ひとつのものに頼りすぎることが、怖いと感じるタイプなんですよ。自分の目も、しっかりと使っていきたい。でも、やっぱり試合など、大事な場面では迷わずコンタクトを使います。そういう意味では、コンタクトがオンオフの切り替えになっている面もありますね。

あらゆるプレーは、その「目」から生まれる

――サッカー選手にとって、「目の良し悪し」はやはり重要な要素なのでしょうか?

ボールが滲んで見えていたら、パスを出すにしても何をするにしても、自信が持てませんからね。そういう自信の無さは、プレー全体のズレにつながります。反対に、鮮明にボールが見えていれば、一つひとつの動作に自信が持てる。そこはすごく大事なことだと思います。

プレー中に見ているのはボールだけではありません。360度、グラウンドのあらゆる場所に常に視線を注いでいます。そのときに意識しているのは「なるべく遠くを見る」ということ。自分から近いところは、ほとんど見ないくらいの気持ちです。言ってみれば観客を眺めるような感覚で、そこからグラウンドのあらゆる情報を、映像として自分の頭のなかに詰め込んでいくイメージです。

そういう見方ができると、ミスも少なくなるし、相手が嫌がるようなプレーもできるようになる。ボールをもらったときに、自分がどう動くのかといったシミュレーションもできます。だから、ボールを持っていないときでも、常に「見る」ことを意識していますね。

――それが小野選手の”ベルベットパス”とも呼ばれる、繊細なパスワークにつながっているのでしょうか?

そういった側面もあるかもしれませんね。ただどちらかというと、「僕自身がもらって嬉しくなるようなパスを出そう」という意識の方が強いかもしれません。僕が受けやすいボールなら、他の選手も間違いなく受けやすいはずです。そういうパスを出すためにも、自分のポジションやディフェンスの位置などをしっかりと見極めるようにしています。

チームのみんなが楽しくないと、僕も楽しくないんです

――キャリアを重ねるなかで、チームのなかでのご自身の立ち位置も変化されていると思います。チーム力をアップするために、心がけていることはありますか?

直接的なプレー以外でも、チームに貢献したいと常に考えています。それ自体は若い頃から変わらないのですが、歳を重ねることで周囲が僕の意見を聞いてくれるようになったというのはありますね。今は周りがみんな自分より年下なので。

でもだからこそ、伝え方には気を配ります。サッカーと同じように、相手の個性やタイミングを見極めた上で、適切な言葉をかけないと、気持ちは届きません。強い言い方をすればいいってわけじゃない。もちろん、強い言葉でチームをピリッとさせるべきときもあるにはあるのですが。でも基本的には、誰かに言われたからじゃなくて、一人ひとりがチームのために自立して動けるようなチームであるべきだと思っています。その考えは、サッカー人生を通じて変わりません。

それにやっぱり、チームのなかにひとりでも暗い人がいたら、寂しいじゃないですか。みんなが楽しんでプレーできる環境が、僕にとっても一番楽しめる環境なんですよ。そのための雰囲気づくりをすることは、案外嫌いじゃない。というか、結構好きなタイプです。仕事だからというより、自分が好きだから、自然とそういう役割を買って出ているのだと思います。

優しさは強さの裏返し。だから僕は、優しくありたい

――40歳を超えてなお、そのプレーで観客を魅了し続ける小野選手の強さを、何が支えているのでしょうか?

ひとつには、家族です。支えられているというよりも、刺激をもらっている、という方が正確かもしれません。ウチの娘たちは、自分が「これをやる」と決めたらそれに向かって突き進んでいく子たちなので。今はミュージカルやダンスに熱中していて、僕が帰ったとき(札幌へ単身赴任中のため)なんかにそれを披露してくれるんです。そういうのも見ると「ああ、どんどん成長してるんだな」と思うし、自分ももっと成長しようと思える。家に帰るたびにエネルギーをもらっていると感じます。僕も彼女たちに刺激を与えられるようなプレーを、もっともっと見せたいですね。

――ほかに父親としてお子さまたちと接するなかで、心がけてきたことはありますか?

常に感謝の気持ちを伝えることでしょうか。生まれてきてくれたこと、頼もしく成長してくれていることへの感謝は、しっかりと伝えるようにしています。僕がそうしていれば、彼女たちも自然と思いやりの心を身につけてくれると思うんです。人に優しくするという当たり前のことを、当たり前にできる大人に育ってほしいですね。

――本日お話を伺っていて、小野選手自身も「優しさ」を常に意識されているように感じました。

そうですね。それにやっぱり、僕は優しさと強さは表裏一体だと思っているので。例えば、シュートを打つときにも、僕は強くではなく、優しく蹴る。ゴールにボールを優しく置いてくるという気持ちで蹴ると、結果的に得点に結びつきやすくなる。つまり、優しさがサッカー選手としての強さにつながっているんです。優しさは裏返すと強さになる。その逆もしかりで、きっと表現の仕方が少し違うだけなんです。ひとりの人としても、サッカー選手としても、強くそう感じています。

CREO in my eyes

●Profile

小野伸二

静岡県沼津市出身のプロサッカー選手。Jリーグ・北海道コンサドーレ札幌所属。ポジションはミッドフィールダー。元日本代表。 FIFAワールドユース準優勝、FIFAコンフェデレーションズカップ2001準優勝、FIFAワールドカップ3大会出場(1998年、2002年、2006年)、UEFAカップ優勝、アジア年間最優秀選手賞を受賞。

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